2009年      訂正2009/2/15         比嘉清
    
関連資料「琉球語文献に見る漢語とその発音」「47都道府県の琉語読み
うちなあぐち                     日本語

琉球語音なかいすぬ漢語ぬ発音

はじみに

近頃お、漢語、琉球語音し読むる習慣やいいくる無えらんなてぃ来ょをんびいん。語音でえ、言語ぬ持っちょをる音韻的特徴なてぃ、言語ぬ指紋、いいどぅんせえ「語紋」んでぃち、言ちん済むるむぬやいびいん。漢語ぬ琉音読みいや、うちなあぐち研究にとぅてぃ、でえじな大切なむぬやいびいしが、うぬ研究や、すそをんさっとをる風儀やいびいん。うぬ理由とぅし次ぬ二ちが考えげらりやびいん。

@漢語お、うちなあぐちえあらんでぃゆる考えぬ強さる事。(日本語音ぬ漢語、多く使いねえ音調が全体的に、日本語風儀んかいけえないん。)

A簡潔やる漢語や書ちくとぅばにとぅて入用やいびいん。現代社会(註1)ゆ表現すぬたみにん漢語お「必需品」やいびいん。やしが、今ぬうちなあぐちぬ研究や「書ちくとぅば」ぬ確立んんでぃゆる独立言語が当い前なかい持たんでえならん目標持っちぇえ無えらん(てえげえや「保存」すぬびけんどぅ考えらっとをいびいる。)たみ、漢語ぬ事んかいや肝ん向きらってぃ来ゃあびらんたん。

うちなあぐちし会話すぬばすん、漢語お、伝統的漢語くうとお、日本語音なかい発音さりいる事ぬ多くなてぃ来ゃあびたん。うん如おる傾向や、『沖縄對話』(明治13年)うとおてぃん、きっさ、表わりとをいびいん。やらわん、うんな傾向や、なあだ、一部ぬ専門用語(経済用語んでえ)うとおてぃる見だりいる、まるふぃいじい、言ちゃいはんちゃいすぬばすお、今やかん、どぅっとぅ、琉球語音しどぅ発音さっとをいびいたる。

戦後んじ作らったる民謡(ふぁあうた)でえんじ、新に使あらってぃちゃる漢語にちいてえ、日本語音ゆうぬまま、けえ使あらったいさあい、琉球語音や、たった弱くなてぃ来ょをる如、思ありやびいん。ただ、韻、響ち、語呂又詩ぬイメージんでえゆ優先さい、非文法的んやい、聞ちなりらん言い様ぬ有たいすしん又詩歌ぬ特徴どぅやいびいくとぅ(詩歌ぬ自由)、実にやれえ、参考文献とぅせえ重要視さんてぃん済むんでぃ思いんさびいしが、うりがまた、まるふぃいじいぬ言ちゃいはんちゃいんかい及ぶすぬ影響力や、うせえらりやびらん。

戦後お、うちなあぐち撲滅運動とぅ日本語しすぬ教育が、進だる時代やい、漢語が日本語音読みいなたしえ、うぬゆいやたんでぃ考えらりやびん。

(せえゑえい)えな事に、琉球語音ぬ弱くなたい崩りたいそをしえ、なあだ、漢語読みいぬばすびけんどぅやる、琉語(実にぬうちなあぐち)読みいや、いいくる、今ちきてぃ、琉球語音なかいさっとをいびいん。言語が、うぬ独立性ゆ持ちゅる事ぬないぬ最終的くさてぃとぅ成いるむのお、何んでぃ言ちん語紋どぅやるんでぃ思ありやびいん。組踊が擬似古文(和語)いちゃっさきいなあ使てぃん、琉球語んかい聞かりいしえ、琉球語音んかい発音さっとをくとぅどぅやいびいる。横物言いさびいしが、同ぬ漢語やいがちいなあ、韓国語・朝鮮語ぬばあやはハングル音し読まってぃ(発音さってぃ)居るたみなかい、漢語やんでえ分かやびらん。

やしが、日本語ぬばあん、あんやたんねえし、うちなあぐちが発展さあい、生ち延びてぃ行ちゅるたみねえ、ちゃあしん、漢語頼がきらんでえないびらん。あんせえ、ちゃあし外んすがんでぃ言いねえ、漢語にちいてぃん琉球語音し発音し、読むる事やか他に無えやびらん。やしが、「言しえどぅうやしむん、すしえ難しむん」やいびいん。

琉球語音や、言語が親から子んかいでぃち継じいかりいるばあや、自然に為てぃ行ちゅるむぬやくとぅ、実にやれえ改みてぃ、勉強さてぃん良たさるむぬやいびいん。やしが、うちなあぐちえ、当たい前ぬ継承システムぬけえ壊りとをんでぃ思ありいるくとぅ、くり勉強すぬたみねえ、外国語習ゆる如さんでえないびらん。

今、うちなあぐち、けえ忘りとをる、いちゃっさきいぬ沖縄人にとぅてぃ、琉球語音習ゆるたみねえ、「日常語」とぅけえ為とをる日本語音とぅぬ関係分ゆる事がる(むっとぅ)ん、ましやるんでぃ考えらりやびいん。くまうとてえ、琉球語音し発音さったる過去ぬ文献んかいあぬ漢語とぅめえてぃ、琉球語音とぅ日本語音とぅぬ関係にちいてぃ考えてぃなあびら。

註1:高度に発達しちゃる現代社会や、専門分野がちゃあ拡がいし、うぬ分、語彙んあったに、うゎあち来ゃん。漢語なかいすぬ造語お、どぅう易っさんあい、また簡潔んやくとぅ、造語力ぬ弱さる和語ゆ補なゆるむんとぅさあい、でえじな、日本語ぬ発展ぬたみになてぃ来ゃん。(最ん、今前ぬ日本人や、漢語頼がきらんようい、外来語うぬまあまあ、カタカナ表記さあい使ゆる事んかい変わてぃ来ょをん。)

 

開口(かいこう)(合)にちいてぃ

漢語が琉球語音し、ちゃあし読まってぃ来ゃがんでぃゆる事ゆ見じゅる前に、「開口」にちいてぃ、語てぃなあびら。

漢語とぅぬ関係ぬ深さる日本語うとおてえ漢字ぬ読み様が「訓読み」とぅ「音読み」ぬあいびいん。「訓読み」ゆ和音んでぃしいや、「音読み」え漢音やいびいん。

日本語とぅぬ関係ぬ深さるうちなあぐちうとをてえ、「開音」とぅ「合音」ぬあいびいん。「開音」ゆ和音とぅしいや、「合音」や琉音、言いどぅんせえ、うちなあ読み(語音)やいびいん。開音や表記用、合音や読み用やんでぃ言ちん済まびいん。たとぅれえ、開音ぬ「おきなわ」、「あり(蟻)」んでえや、合音しえ、「うちなあ」、「あい」とぅでぃないびいん。開音「a,i,u,e,o」が、合音しえ、「a, i,u,i,u」んかい変わやい、また、開音ぬ語尾んかい来ぅうる「wa」、「ri」や、「w」、「r」ぬ外んでぃやい、「a」、「i」んかい変わいくとぅやいびいん。両方(ろうほう)ぬ音関係ゆ開口んでぃ言ちょをいびん。

漢語ぬ読みい様(発音)や、うぬ起源なとをる中国語音が、うりゆ取い入りたる言語ぬ語紋なかい、かきらりやい、変わやびいるむんやいびいん。日本語んじえ日本語音し、韓国・朝鮮語んじえ韓国・朝鮮語音し、ベトナム語んじえベトナム語音し、んでぃゆる如。同ぬ如、琉球語んじえ琉球語音ぬんかい変わやびいしが、琉日ぬ言語間ぬ規則的な音韻変化ぬ行わりゆるくさてぃとぅせえ、琉球とぅ中国が冊封関係し結ばりやい、外交文書作ええん中国語しそをたるあたいぬ仲やたるむんぬ、琉球語彙とぅしちぬ漢語や、多くお、日本語から入っち来ゃるむんやくとぅるやるんでぃ思ありやびいん。

註:くぬ論文うとおてぃ漢語んでぃ言いねえ、中国語ゆ起源とぅすぬ語やいびいくとぅ、今あ、日本語扱えなとをいびいしが、中国から借てえる外来語どぅやいびいる。あんし、当たい前ぬ事、むる音読みんかいないびいん。例れえ、「恋」が「こい」んでぃち発音(訓読み)さりいるばあや、和語やい、「れん」んでぃち発音(音読み)さりいるばあや漢語んでぃ言ゃびいん。やいびいくとぅ、「今日」(ちゅう)「城」(ぐしく)ぐとおるむんや、ただ漢字ぬ意味ゆ充てたるびけんぬ和語ぬ「恋」(こい)とぅ同ぬむんやい、くぬ論文んじえ説明やさびらん。

 

開音し表記さっとをる「おもろさうし」「組踊」「琉歌」

「おもろさうし」ぬ編纂にあたてぃ、「おもろ」編纂ぬ担当官たあや、和音とぅ琉音とお、互えに対応関係ぬあぬ事ぬ分かとをいびいたる筈やいびいん。薩摩が琉球、植民地とぅさあい、かきゆる前にん、琉球とぅ日本とぅぬ交流が頻繁やたる事お、源為朝伝説くうとぅ、まんどをいびいん。「おもろ」んかい「かつれんわ なおにきや たとゑる やまとの かまくらに たとゑる(勝連は何に譬えよう、大和の鎌倉こそに譬えよう)」んでぃぬ歌ぬあぬ事はじみ、勝連城址からあ戦国時代ぬ鎧(ゆるい)ぬ切り片ぬとぅめえらってぃ、屋慶名海峡んかいや大和船が沈没そをんでぃぬ伝え話ぬあいびいん。琉球語ぬ開音(和式)表記え、今になたれえ、分かい苦さんあい、うゎあばな表記法とぅなとをいびいん。やしが、うにいや、和文式(開口)しすぬ歌謡ぬ書ち止みや、何んふぃるましくん無えらん当たい前ぬむんがやたらあんわからびらん。何んでぃちやいびいがや。次ぬ三ちぬ我くるぬ仮説、うみかきてぃなあびら。

 

@     琉球人とぅぬ交流通ち、琉球語ん分かゆんねえしなてぃちゃあい、あんさあに、和語とぅ琉球語ぬ母音が規則的対応関係ぬあぬ事ぬ分ゆんねえなてぃちゃるヤマトゥ人が、琉球ぬ歌謡んでえ和語し書ち記すんねえしなてぃちゃん。うんな和式表記え、ただ歌謡ぬ書ち止みたびけんやあらな、翻訳(註2)ん兼にゆる事んなたん。東アジアうとおてぃ、(ふぇえ)くから、さっとをたる漢字共有、真似たるむんやんでぃん思ありいしが、また琉語とぅ和語が文字共用とぅか文字統一とぅかぬ意味合ん、ねえらんたがやあんでぃ思ありいんる。何やらわん、和文字使用ぬ主導権や教授すぬ側やたるヤマトゥ人がる持っちょをたる筈。

註2:開音表記さんてえまん、不明な琉球語彙ん多さたるたみなかい、翻訳ぬ目的え、あんすかまでえあらんたる筈んでぃ思ありいん。また、琉球人が和音式(開音)ゆ受き入りたる訳とぅし、当時、日本語ぬんちょおん、書ち言葉とぅ話し言葉が、でえじな違とおる事んあたる筈やいびいん。

A     上ぬ逆あなあ。琉球人が和語ゆ習てぃ、経験的に開口関係ぬある事ぬ分かやい、琉球歌謡ゆヤマトゥ人んかい披露すぬたみなかい、翻訳兼にてぃ、琉球歌謡ゆ開口表記さん。(うぬ考えんかい無理え無えらんしが、可能性や低さんでぃ思ありいん。)

B     上ぬ二ちが、絡まちゃあい、琉球歌謡ぬ表記え、自然に(当い前なかい)開音なかいすぬ風儀んかいなたん。

 漢字ねえぬ表形文字ぬばあや、異言語間同士あぬ文字ぬ共有やメリットお、大ぎさしが、「いろは」ねえぬ表音文字ゆ使ゆる琉語とぅ和語とぅぬ「文字・表記統一(開音表記)」や、後々、琉語側にとぅてえ、却てえ分かい苦さんでぃゆるデメリットがる大ぎさんでぃ、言ゃんでえならん。

 

うん如をる行成(いちない)んあてぃ、和文ぬ知識ん持っちょをたる琉球王府ぬ「おもろ」ぬ編纂者たあや、当い前ぬ事ねえし、「おもろ」ゆ開音(和式)し表記さるばすやいびいん。やしが、表記ばっぺえん、まんでぃ(同ぬ語彙どぅやしが、表記ぬしい様が幾ちんあん)、開口関係や、あたまから、あまぞをたるばすやいびいん。

ぐ承知ぬ通い、開音表記や、「組踊」、琉歌(るうか)んかいん受ち継がっとをいびいん。あんしんなあんあらん、歴史的仮名遣え、擬似古文とぅんなとをいびいん。やしが、読み様びけんや、いいくる、合音(琉音)しすぬ事んかい成とをいびいん。

いが琉球ぬ古典文献や、うぬゆうな「うゎあばな表記法」ゆいに、大概ぬ人んちゃあにとぅてえ、でえじな、馴り苦しさしみとをる要因ぬ一ちとぅなとをいびいん。

 

漢語ぬ二重母音また拗音ぬ開口ぬ関係

先話ぬ、長くけえなとをいびいしが、くぬ項からがる本項やいびいん。

くぬ開口ぬルールや漢語ぬ読み様んかいん、当い前ぬ事、当てぃはまいびいしが、くまうとおてえ、漢語ぬ二重母音、拗音また拗音とぅ二重母音とぅが(ぐう)なとをるばすぬ開口関係にちいてぃ見ちなあびら。
 下ぬ漢語ぬ出典資料や一番下んかい表示そをいびいん。
 また、二重母音うりに拗音くうとお、当たい前ぬ事なかい、開口ぬ原則ぬ通いやいびいん。ローマ字(ローマ式アルファベット)やヘボン式ゆき本とぅすぬむんやいびいしが、「ふぁえ、ふぇ、ふぉ、てぃ、とぅ、ゐ、ゑ、をぅ、をぉ、くぁ、くぃ、くぇ」ねえ、ヘボン式しえ表記しゆうさん音にちいてえ、各々、「fa,fi,fe,fo,ti,tu,wi,wu,we,wo,kwa,kwi,kwe」んでえ、足してぃ使とをいびいん。

 

1.ai「(yeeeんかいなゆん。maiとぅかsaiんでえねえ、aiぬ前んかい子音ぬ付ちゅるばすん同ぬむん。例れえ、「挨拶」ゆローマ字し「aisatsu」んでぃち表記すぬばすぬ母音「ai」部分が「ee」んでぃちないんゆる意味やい、下ぬ例や、反対に母音「ee」ぬ部分ゆひらがな表記「ええ」んかい戻ち書ちぇえるむんやいびいん。以下同様。
 また、会社(くぁいしゃ)
)ねえぬkaiぬ如し、kaikwaiとぅないる例ん多さしが、うんな現象や戦前(明治大正期)ぬ日本語にんある事どぅやくとぅ、実にぬ琉球語音とぅしえ、考えらん。「参会」ぬsankai→sankweeん実にやれえ同ぬむんやん。

【ええ】(ええ)

【け、けえ、くぇえ】(けえ)(じょう)(開静とも書く)。(けえ)(けえ)()()(しゅっ)(くぇえ)(あん)(げえ)(くぇえ)(ぶん)(くう)(くぇえ)(てえ)()

【せえ】(せえ)(せえ)(こう)(せえ)(ろう)(せえ)(すく)(ぜえ)(せえ)難。(せえ)(ちゅう)(とう)(せえ)()(せえ)()(せえ)

【てえ、でえ】(てえ)(てえ)(げえ)(てえ)()(てえ)(るう)()(でえ)(でえ)(むく)(ちょう)(でえ)祝儀(すうじ)(でえ)

【ねえ】(ねえ)(ちゅう)()(ねえ)

【ふぇえ、へえ】(ふぇえ)(ふぇえ)(ふぇえ)(ぶん)(ふぇ)(ほう)(べえ)(しょう)(べえ)。(「へえ」んでぃち発音すぬ地方んまんどをおん。)

【めえ】(めえ)(めえ)(めえ)(にん)

【れえ】(おう)(れえ)

例外:(と、とう)西(ざい)(まん)(ざい)

 

2.
eii ,iiんかいなゆん

【ちい、じい】(とぅ)(ちい)()()(じい)(のう)

【ち、ちい】(はっ)()

【しい、し】(しい)(とぅ)(しん)(しい)(がく)(しい)。加(し(い))三十六(さんじゅうるく)(しい)(しい)(てぃん)(てえ)()

【みい、み】(てぃん)(みい)()(しょう)

【りい】(りい)(にん)()(りい)

 

3.uiiiiんかいなゆん。

 【じい】(じい)分。()(ぐん)(いい)(訓読み)。

 

4.ooや、多くお、oo(うぬまま)、oんかいないしがるいふぇえ、強さしが、開音関係ぬ原則やるuuんかいなゆしんあい、二ちんかい分りいるしいじやん。(例:「果報(かふう)」、「頑丈(がんじゅう)」、「観音堂(くぁんぬんどぅう)」んでえ)。また、『沖縄對話』んじえ、地名「大阪」(訓読み)ゆ「ううざか」んでぃ読ますぬ例んあたいすい、「返答」が「ふぃんとう」とぅ「ふぃんとぅう」ぬ、じるんある事んでえから、元々お、原則(uu)通いやたしが、後々に、日本語使用が強くなてぃちゃるたみなかい、「oo」んかい定まてぃちゃんでぃ思ありいん。

 

@変わらんようい、うぬままoo,o(開音ぬまま)とぅなゆん。

【おう】()(おう)(おう)(えww)()(こう)舜天(しゅんてぃん)(のう)(註3)

註3:舜天王ぬ「王」や、「おう」どぅやしが、「oo」ぬ前音ぬ天(tin)ぬ語尾nとぅたっくぁあてぃ、「shuntinnoo」(しゅんてぃんのう)んでぃちないるばす。

【ぎょう】(そつ)(ぎょう)

【こう】(がっ)(こう)(かん)(こう)(じん)(こう)(こう)(き、ち)孝行(こうこう)(こう)(さん)(こう)(しゃく)(こう)()(こう)(べえ)(こう)()

【そう、そ、ぞう】()()(そう)場。(そう)(ほう)(ふぃ)(そう)()(ぞう)()(ぞ、ぞう)

【しょ、しょう、じょう】()(しょう)(てえ)(しょう)(かん)(じょう)()(しょう)()(しょう)(しょう)(べえ)(しょう)学校(がっこう)(じょう)(さく)(しょう)(じち)証書(しょうしょ)(しょう)(ちゅう)(じょう)()(しょう)(じょう)(とぅう)(しゅく)(にん)(しゅ)(むち)(てえ)(しょう)(ちく)(しょう)(てぃん)(じょう)(にん)(ぎょう)。人(じょう)(はく)(じょう)。繁(じょう)。百(しょう)()(じょう)。無(じょう)()(しょう)()(じょう)

註:「奉行」ぬばあや、「ぎょう」ぬ「ぎ」が合音ぬ「じ」んかいないしが、「oo」や変わらん。くぬ例ゆくさてぃに、上欄ぬ「卒業」ん「そつじょう」んでぃち、ないぎさあやしが、「そつぎょう」ぬる優勢とぅなとをる。

【ちょう】(ちょう)(でえ)(きん)(ちょう)()(ちょう)()(ちょう)。左(ちょう)(しん)(ちょう)(ちょう)(ちょう)(じゃ)(ちょう)(どぅ)(ちょう)(ふう)調(ちょう)(ほう)(がん)(ちょう)

 ()(無)調(ちょう)(ほう)

【とう、どう】()(とう)(どう)()(どう)()(とう)皮油(ひゆ)(てぃん)(とう)()西(ざい)(ふぃん)(とう)返答(ふぃんとぅう)んあん)。

【ひょう、びょう】(びょう)()(ひょう)()(ひょう)(はん)

【ほう、ぼう、ぽう】(ちん)(ぽう)(しゅ)(ほう)(そう)(ほう)調(ちょう)(ほう)(ほう)(いん)(ほうりき)力。(ぼう)(ちゃく)(ぼう)()(ぼう)()(ほう)(ちゃあ)(ほう)(べえ)()調(ちょう)(ほう)(ろう、りょう)(かん)(ぽう)

【りょう】(すく)(りょう)(りょう)()(りょう)(ちん)

【よう】(よう)(じょう)

A「uuuんかいないるむぬ。

【くう】(くう)(くぇえ)(くう)(てぃん)(ふう)(くう)

【しゅう、じゅう、じゅ】(がん)(じゅう)(しゅう)()(ばん)(じゅ)(しゅ)(どぅん)(じゅ)()伝習(でぃんしゅう)(じゅ)

註:語尾んかいあぬ「所」や、多くお、開音「しょ」が合音「しゅ」んかい変わやい、あんしから濁音ぬんかいなゆん。

【すう】(すう)()(すう)元寺(ぎんじ)

【とぅう、どぅう】観音(くぁんぬん)(どぅう)。常(とぅう)(どぅう)()(とぅう)(る、るう)(とぅう)(るん)(ふぃん)(とぅう)(上参考)。

【ふ、ふう】()(ふう)。世果()(ふう)(ちょう)(ふう)(ふう)(くう)()(ぞう)(ふう)()

 【ぬう】(かん)(ぬう)(じい)(のう)(しゅう)(ぬう)

【ゆう】(ゆう)()(どぅう)(ゆう)()(ゆう)(ゆう)()(ゆう)(しん)

【るう】(るう)(しゃ)

 

B例外 包(ちゃあ)

 

5.漢語うとおてぃん、語尾んかいあぬ「ri」ぬばあや、rぬ脱ぎやい、「i」んでぃちなゆん。

  (りょう)()。首()(地名)。

例外 「無理(むり)」、「一里、半里、千里(しんり)など」、「義理(じり)」、「物理(ぶちり)」など。

 

6.「kyoku」が「chiku」んでぃち、変則的に変わゆる例。地方にゆてえ、「chiku」

【ちく】郵便(ゆうびん)(ちく)(やっ)(ちゅく)

 

 

 漢語ぬ読みい様ぬ、例外とぅか変則的なむんぬあしえ、日本語ぬばあん同ぬむんやい、うぬまま、受き取らんでえならん筈やいびいん。

 

参考:下あ、開口ぬてえげえぬ関係図やいびいん。(二重線から右え筆者ぬ拡大解釈そをる開口関係やいびいん)

開音

a

i

u

e

o

ri

wa

ki

ke

gi

Chi,zi

mi

mu

mo

nu

合音

a

i

u

i

u

i

a

chi

ki

ji

Chi,zu

?、n

 

yi

 

ye

 

 

 

 

chi

 

 

 

 

 

 

 

wi

wu

we

wo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開音

ue

oe

合音

(w)ii

 

     日本語ぬ「え、お」んかい対応すぬ母音が原則的ねえ、「い、う」んかいないぬむんやくとぅ、早くお、琉球語ぬ母音や、三母音(あ、い、う)しかねえらんでぃち、じんとうやる風儀し、考えらっとをいびいたん。対応母音ぬ事びけんかい、肝取らってぃ、真ぬ事ゆ、けえ忘りとをたるうっぴどぅやいびいたる。

     ke」が「ki」とぅか「chi」んかいないる例とぅしち、「()」、「(ちむ)」んでえぬあいびいん。また、「県」や県庁(きんちょう)他県(たちん)ねえ、てえげえ、単独又語頭ぬばあや、「きん」、語尾ぬばあや「ちん」でぃちないびいしが、元々お、「ちん」どぅやたしが、後々、「きん」ぬんかいなたんでぃぬ事やいびいん。

     rir」。「通り→通い」、「(もり)(もい)」、「(あり)(あい)」、「(とまり)(とぅまい)」、「(うり)(うい)」、「(まり)(まい)」、「(とり)(とぅい)

     waw」。「(なわ)(なあ)」、「(かわ)(かあ)」、「(あわ)(ああ)」、「(かわら)(かあら)」、「(たわら)(たあら)」、「(まわ)り→(まあ)い」

     kichi」。「()()」、「(きも)(ちむ)」、「黄色(きいろ)黄色(ちいるう)」、「(きり)(ちり)」、「(つる)(ちる)」、「(きし)(ちし)」、「(きん)(ちん)(きく)(ちく)

     kechi」。「(けん)(ちょう)(ちん、きん)庁」、「見聞(けんぶん)見聞(ちんぶん)」、「倹約(けんやく)倹約(ちんやく)」、「二間(にけん)二間(にちん)」、「検査(けんさ)検査(ちんさ)

     giji」。「銀行(ぎんこう)銀行(じんこう)」、「吟味(ぎんみ)吟味(じんみ)」、「義理(ぎり)義理(じり)」、「儀式(ぎしき)儀式(じしち)

     chuchi,zuzi」。「何時(いつ)何時(いち)」、「見物(けんぶつ)見物(ちんぶち)」、「(まつ)(まあち、まち)」、「(なつ)(なち)」、「(はず)(はじ)、「(つめ)(ちみ)」、「(つら)(ちら)」。(開口ぬ原則からしいや、uや変わらのおあしが、例外的に「つ」や「ち」んかい変わゆん。)
     ae→ee」。「(なえ)(ええ)」、「八重(やえ)八重(ゑえ)」、「(かえ)る→(けえ)ゆん(帰いん)

     ueoe→(wii」例。「(こえ)(くぃい)」、「(うえ)(ゐい)」、「()こえ→()くゐ(評判)」

 

上ぬ応用問題とぅさあい、次ぬ漢語ゆ合音し読でぃなあびり。

@高層建築物  A新発売  B入院患者  C勝利宣言  D心肺停止  E一勝三敗

F拡大的生産  G米国発  H金融危機  I減産対象  J国際団体  K憲法裁判所

(答や下行)

 

応用問題の答

@こうそうきんちくぶち(又くうすうきんちくぶち) Aしんはちべえ Bにゅういんかんじゃ Cしょういしんぎん Dしんぺえてえし Eいっしょうさんぺえ Fかくでえてぃちしいさん Gべえくくはち Hちんゆうちち Iぎんさんてえしょう Jくくせえだんてえ Kきんぽうせえばんじゅ(又ちんぷうせえばんじゅ)


 

資料:組踊(『護佐丸敵討』、『執心鐘入』、『忠士身替の巻』、『銘苅子』、『孝行之巻』、『大川敵討』、『大城崩』、『女物狂』、『手水の縁』、『花売の縁』、『万歳敵討』いずれも伊波普猷編)、『沖縄對話』(沖縄県)、『沖縄語辞典』(国立国語研究所)、野村流工工四(野村流音楽協会)、『琉球の昔話』より「泊阿嘉」「中城情話」、海邦出版社、他。

琉球語音による漢語の発音

はじめに

今日、漢語を琉球語音で読む習慣は薄れつつあります。語音とは、言語の持つ音韻的特徴で、言語の指紋、つまり「語紋」とも言うべきものです。漢語の琉音読みは、うちなあぐち研究にとって、重要な分野であるにも拘わらず、研究は疎かにされているきらいがあります。その理由として次の二つが挙げられるでしょう。

@「漢語は非うちなあぐち語彙」であると看做す傾向があること。(日本語音による漢語を多用すれば音調が全体的に、日本語風になってしまう。)

A簡潔な漢語は特に書きことばには欠かせません。現代社会(註1)を表現するのにも漢語は「必需品」です。だが、うちなあぐちの研究が「書きことば」の確立という独立言語の目指を目標を持ってない(「保存」という狭い目標から脱却でいません)ため、漢語読みに目が向けられてこなかったものと思われます。

うちなあぐちで会話する場面でも、漢語は伝統的な漢語を除けば、日本語音で発音されることが多くなりました。この傾向は、『沖縄對話』(明治13年)においても、既にその兆しが見られます。但し、まだ、一部の専門用語(経済用語など)に限られ、日常語においては、今よりずっと、琉球語音で発音されていました。

戦後に作られた民謡などにおいては、新しく借用された漢語については、やはり日本語音をそのまま使用するなど、琉球語音の薄れは、一段と進んでいるかに見えます。ただ、韻、響き、語呂及イメージなどを優先し、非文法的で聞きなれない言い回しがあったりするのが詩歌です(詩歌の自由)ので、本来は、参考文献として重要視しなくても良いとは考えますが、日常語に及ぼす影響力は無視できないものがあります。

戦後は沖縄語撲滅運動と日本語による教育が著しく進んだ時代であり、漢語読みの日本語音化はその反映であると考えられます。

幸いなことに、琉球語音の薄れ又は崩れは、まだ、漢語のみに見られる現象で、琉語(本来のうちなあぐち)においては、概ね、琉球語音が今日まで保たれています。言語がその独立性を保つことができるのは、最終的拠り所は、やはり語紋であろう思います。組踊が擬似古文(和語)を多用していても、琉球語に聞こえるのは、琉球語音で語られているからです。余談ですが、同じで漢語でありながら韓国語・朝鮮語のそれはハングル音で読まれ(発音され)ているため漢語であると気付きません。

しかし、日本語の場合もそうであったように、うちなあぐちが発展し、生き延びていくためには、どうしても、漢語使用に頼らざる得ません。解決策は、漢語についても琉球語音で発音し、読むことにつきます。だが、「言うは安し、行なうは難し」です。

琉球語音は、言語が親から子へと継承される場合は、自然に身につくものであり、本来は改めて学ぶ必要はありません。ですが、うちなあぐちは当たり前の継承システムがほぼ崩壊していると見られることから、これを習得するには、外国語を学ぶ要領でなされる必要があります。

今日、うちなあぐちを忘れた多くの沖縄人にとって、琉球語音を習得するには、「日常語」となってしまった日本語音との関係を知ることが最も有効であると考えられます。ここでは、琉球語音で発音された過去の文献にある漢語に接し、琉球語音と日本語音との関係について考察してみましょう。

註1:高度に発達した現代社会は、専門分野が拡大の一途を辿り、その分、語彙も急激に増えてきた。造語性に富みかつ簡潔な漢語は、造語性に極めて乏しい和語を補完するものとして、日本語の発展に著しい貢献をしてきた。(最も最近の日本人は、漢語に頼らず、外来語をそのままカタカナ表記して使うという流れに変化した。)

 

開口(かいこう)(合)について

漢語(註)が琉球語音でどう読まれてきたかを見る前に、「開口」について触れてみたいと思います。

漢語との関係の深い日本語において漢字の読み方が「訓読み」と「音読み」があります。「訓読み」を和音とするなら、「音読み」は漢音です。

日本語との関係の深いうちなあぐちでは、「開音」と「合音」があります。「開音」を和音とするなら、「合音」は琉音、すなわち、うちなあ読み(語音)です。開音は表記用であり、合音は読み用であるといってもよいでしょう。たとえば、開音の「おきなわ」、「あり(蟻)」などは、合音では、「うちなあ」、「あい」となります。開音「a,i,u,e,o」が、合音では、「a, i,u,,i,u」に変化し、また、開音の語尾に来る「wa」、「ri」は、「w」、「r」が脱落し、「a」、「i」に変化するからです。双方の音関係を開口と言います。

漢語の読み方(発音)は、起源である中国語音がそれを取り込んだそれぞれの言語の語紋に支配され、変化します。日本語においては日本語音で、韓国・朝鮮語においては韓国・朝鮮語音で、ベトナム語においてはベトナム語音でという風に。同様に琉球語においては琉球語音に変化するのであるが、琉日における言語間の規則的な音韻変化が行われる背景には、琉球と中国が冊封関係で結ばれて、外交文書の中国語で取り交わしていた仲であるにも拘わらず、琉球語彙としての漢語は、殆ど日本語から入ってきたものであるからだと思われます。

註:この論文で言う漢語とは、中国語を起源とする語で、今では、「日本語」になっていますが、厳密に言えば中国語から借用した外来語です。当然すべてが音読みになります。例えば、「恋」が「こい」と発音(訓読み)される場合は、和語であり、「れん」と発音(音読み)される場合を漢語(中国語)と言います。したがって、「今日」(ちゅう)「城」(ぐしく)などは、意味としての漢字を充てたにすぎない和語の「恋」(こい)と同じ仲間であり、ここでの説明の対象外です。

 

開音で表記された「おもろさうし」「組踊」「琉歌」

「おもろさうし」を編纂するにあたって、「おもろ」編纂の担当官らは、当然に、和音と琉音との関係に気付いていたようです。薩摩が琉球を植民地支配する以前においても琉球と日本との交流が頻繁だったことは源為朝伝説を俟つまでもありません。「おもろ」に「かつれんわ なおにきや たとゑる やまとの かまくらに たとゑる(勝連は何に譬えよう、大和の鎌倉こそに譬えよう)」の歌謡があることをはじめ、勝連城址からは戦国時代の鎧の断片が発見され、屋慶名海峡には大和船沈没伝説があります。琉球語の開音(和式)表記は、今日では、まわりくどい、いかにも余計な表記法です。ですが、当時としては、和文式による歌謡の記録は、疑問を挟む余地の無い妥当なものだったのかも知れません。なぜでしょうか。次の三つの私説を紹介します。

 

@     琉球人との交流を通して、琉球語に通じ、さらに和語と琉球語の母音に一定の対応(変化)関係があることを知るようになったヤマト人が、琉球の歌謡を和語で記すようになった。そして、和式表記は、歌謡の記録だけでなく、翻訳をも兼ねる(註2)というメリットがあった。あるいは、東アジアにおける漢字の共有に倣い、琉語と和語の文字の共用または統一という意味合いもあったと思われる。いずれにせよ、和文字使用の主導権は教授する側であるヤマト人が握っていたようである。

註2:開音表記をしてもなお、不明な琉球語彙も多かったことから、翻訳の目的は十分ではなかったと思われる。また、琉球人が和音式(開音)を受け入れた背景に、当時、日本語においても書き言葉と話しことばに乖離があることが常識化していたこともあるかもしれない。

A     上の逆で、琉球人が和語を習得し、経験的に開口関係に気付き、琉球歌謡をヤマト人に披露するために、翻訳を兼ねて、歌謡を開口表記した。(想定に無理はないが、可能性は低いと思われる。)

B     上の二つが相俟って、琉球歌謡の表記は自然に(当然に)開音でする習慣が定着した。

 漢字のような表形文字の場合は、異言語間における文字の共有はメリットが大きいが、「いろは」のような表音文字を使う琉語と和語との間における「文字・表記の統一(開音表記)」は、後々、琉語側にとっては、解読が困難になり、デメリットの方が大きかったといわざるを得ない。

 

上のような経緯をたどり、和文の知識のあった琉球王府の「おもろ」編纂者たちは、当然のように、「おもろ」を開音(和式)で表記したのであろうと思われます。だが、表記ミスも多々あり(同一語彙で、複数の表記がある)、当初から開口関係に揺らぎがあったのです。

承知の通り、開音表記は、「組踊」、琉歌にも受け継がれています。加えて歴史的仮名遣い、擬似古文にもなっています。ですが、読み方だけは、殆どの場合、合音(琉音)を要求しています。

わが琉球の古典文献は、その「余計な表記法」ゆえに、一般の人々にとって、極めて、馴染みにくい要因の一つになっています。

 

漢語における二重母音及び拗音における開口の関係

前置きが、長くなりましたが、この項以降が、本項です。

この開口のルールは漢語読みにも、当然、当てはまりますが、ここでは、漢語における二重母音、拗音及び拗音と二重母音とが組み合わさった場合の開口関係について見ていきます。
 以下の漢語の出典資料は一番下に表示しています。
 なお、二重母音及び拗音以外については、当然に通常の開口の原則に従います。ローマ字(ローマ式アルファベット)はヘボン式を基本にしていますが、「ふぁえ、ふぇ、ふぉ、てぃ、とぅ、ゐ、ゑ、をぅ、をぉ、くぁ、くぃ、くぃ、くぇ」など、ヘボン式では表記できない音については、各々、「fa,fi,fe,fo,ti,tu,wi,wu,we,wo,qi,qe」などを追加して使用します。

 

1.ai「(yeeeとなる。maisaiなどのようにaiの前に子音が付く場合も同じ。例えば、「挨拶」をローマ字で「aisatsu」と表記した場合の母音「ai」部分が「ee」となるという意味であり、下の例は、逆に母音「ee」の部分をひらがな表記「ええ」に戻したものです。以下同様。
 また、会社(くぁいしゃ)
)におけるkaiのように、kaikwaiとなる例も多いが、この現象は戦前(特に明治大正期)の日本語にも見られものであり、本来の琉球語音であるとは考えない。「参会」におけるsankai→sankweeも本来は同様である。

【ええ】(ええ)

【け、けえ、くぇえ】(けえ)(じょう)(開静とも書く)。(けえ)(けえ)()()(しゅっ)(くぇえ)(あん)(げえ)(くぇえ)(ぶん)(くう)(くぇえ)(てえ)()

【せえ】(せえ)(せえ)(こう)(せえ)(ろう)(せえ)(すく)(ぜえ)(せえ)難。(せえ)(ちゅう)(とう)(せえ)()(せえ)()(せえ)

【てえ、でえ】(てえ)(てえ)(げえ)(てえ)()(てえ)(るう)()(でえ)(でえ)(むく)(ちょう)(でえ)祝儀(すうじ)(でえ)

【ねえ】(ねえ)(ちゅう)()(ねえ)

【ふぇえ、へえ】(ふぇえ)(ふぇえ)(ふぇえ)(ぶん)(ふぇ)(ほう)(べえ)(しょう)(べえ)。(「へえ」と発音する地方も多い。)

【めえ】(めえ)(めえ)(めえ)(にん)

【れえ】(おう)(れえ)

例外:(と、とう)西(ざい)(まん)(ざい)

 

2.eii ,iiとなる。

【ちい、じい】(とぅ)(ちい)()()(じい)(のう)

【ち、ちい】(はっ)()

【しい、し】(しい)(とぅ)(しん)(しい)(がく)(しい)。加(し(い))三十六(さんじゅうるく)(しい)(しい)(てぃん)(てえ)()

【みい、み】(てぃん)(みい)()(しょう)

【りい】(りい)(にん)()(りい)

 

3.uiiiiとなる。

 【じい】(じい)分。()(ぐん)(いい)(訓読み)。

 

4.ooは多くは、oo(そのまま)、oになるのがやや優勢であるが、開音関係の原則であるuuにはなるものと二分する。(例:「果報(かふう)」、「頑丈(がんじゅう)」、「観音堂(くぁんぬんどぅう)」など)。また、『沖縄對話』において、地名「大阪」(訓読み)を「ううざか」と読ます例があったり、「返答」が「ふぃんとう」と「ふぃんとぅう」のいずれもあることなどから、元々は、原則(uu)通りだったのが、後に、日本語使用が優勢なったため、「oo」が定着してきたものと思われる。

 

@変化せず、そのままoo,o(開音のまま)になる。

【おう】()(おう)(おう)(えww)()(こう)舜天(しゅんてぃん)(のう)(註3)

註3:舜天王の「王」は、「おう」でなのであるが、「oo」の前音の天(tin)の語尾nと結合して、「shuntinnoo」(しゅんてぃんのう)となる。

【ぎょう】(そつ)(ぎょう)

【こう】(がっ)(こう)(かん)(こう)(じん)(こう)(こう)(き、ち)孝行(こうこう)(こう)(さん)(こう)(しゃく)(こう)()(こう)(べえ)(こう)()

【そう、そ、ぞう】()()(そう)場。(そう)(ほう)(ふぃ)(そう)()(ぞう)()(ぞ、ぞう)

【しょ、しょう、じょう】()(しょう)(てえ)(しょう)(かん)(じょう)()(しょう)()(しょう)(しょう)(べえ)(しょう)学校(がっこう)(じょう)(さく)(しょう)(じち)証書(しょうしょ)(しょう)(ちゅう)(じょう)()(しょう)(じょう)(とぅう)(しゅく)(にん)(しゅ)(むち)(てえ)(しょう)(ちく)(しょう)(てぃん)(じょう)(にん)(ぎょう)。人(じょう)(はく)(じょう)。繁(じょう)。百(しょう)()(じょう)。無(じょう)()(しょう)()(じょう)

註:「奉行」の場合は、「ぎょう」の「ぎ」が合音の「じ」になるが、「oo」は変化しない。この例を根拠に、上欄の「卒業」も「そつじょう」となりそうなのだが、「そつぎょう」が優勢となっている。

【ちょう】(ちょう)(でえ)(きん)(ちょう)()(ちょう)()(ちょう)。左(ちょう)(しん)(ちょう)(ちょう)(ちょう)(じゃ)(ちょう)(どぅ)(ちょう)(ふう)調(ちょう)(ほう)(がん)(ちょう)

 ()(無)調(ちょう)(ほう)

【とう、どう】()(とう)(どう)()(どう)()(とう)皮油(ひゆ)(てぃん)(とう)()西(ざい)(ふぃん)(とう)返答(ふぃんとぅう)もある)。

【ひょう、びょう】(びょう)()(ひょう)()(ひょう)(はん)

【ほう、ぼう、ぽう】(ちん)(ぽう)(しゅ)(ほう)(そう)(ほう)調(ちょう)(ほう)(ほう)(いん)(ほうりき)力。(ぼう)(ちゃく)(ぼう)()(ぼう)()(ほう)(ちゃあ)(ほう)(べえ)()調(ちょう)(ほう)(ろう、りょう)(かん)(ぽう)

【りょう】(すく)(りょう)(りょう)()(りょう)(ちん)

【よう】(よう)(じょう)

A「uuu」になるもの。

【くう】(くう)(くぇえ)(くう)(てぃん)(ふう)(くう)

【しゅう、じゅう、じゅ】(がん)(じゅう)(しゅう)()(ばん)(じゅ)(しゅ)(どぅん)(じゅ)()伝習(でぃんしゅう)(じゅ)

註:語尾にくる「所」は、多くは、開音「しょ」が合音「しゅ」に変化し、さらに濁音になる。

【すう】(すう)()(すう)元寺(ぎんじ)

【とぅう、どぅう】観音(くぁんぬん)(どぅう)。常(とぅう)(どぅう)()(とぅう)(る、るう)(とぅう)(るん)(ふぃん)(とぅう)(上参考)。

【ふ、ふう】()(ふう)。世果()(ふう)(ちょう)(ふう)(ふう)(くう)()(ぞう)(ふう)()

 【ぬう】(かん)(ぬう)(じい)(のう)(しゅう)(ぬう)

【ゆう】(ゆう)()(どぅう)(ゆう)()(ゆう)(ゆう)()(ゆう)(しん)

【るう】(るう)(しゃ)

 

B例外 包(ちゃあ)

 

5.漢語においても、語尾にくる「ri」は、rが脱落し、「i」になる。

  (りょう)()。首()(地名)。

例外 「無理(むり)」、「一里、半里、千里(しんり)など」、「義理(じり)」、「物理(ぶちり)」など。

 

6.「kyoku」は「chuku」地方によっては「chiku」と、変則的に変化する例。

【ちゅく】郵便(ゆうびん)(ちゅく)(やっ)(ちゅく)

 

 

 漢語において、例外や変則的読み方があるのは、日本語の場合も同様であり、そのまま、受け入れるしかないだろう。

 

参考:下は開口のおおよその関係図です。(二重線から右は筆者の拡大解釈による開口関係です)

開音

a

i

u

e

o

ri

wa

ki

ke

gi

Chi,zi

mi

mu

mo

nu

合音

a

i

u

i

u

i

a

chi

ki

ji

Chi,zu

?、n

 

yi

 

ye

 

 

 

 

chi

 

 

 

 

 

 

 

wi

wu

we

wo

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開音

ue

oe

合音

(w)ii

 

     日本語の「え、お」に対応する母音が原則的に、「い、う」になることから、かつては、琉球語の母音は、三母音(あ、い、う)しかないと、まことしやかに言われていました。対応母音のみに気を取られ、実在する母音をど忘れしていただけです。

     ke」が「ki」や「chi」になる例として、「()」、「(ちむ)」などがあります。また、「県」は県庁(きんちょう)他県(たちん)のように、概ね、単独又は語頭の場合は「きん」、語尾の場合は「ちん」となりますが、元々は、「ちん」で、後に「きん」になったようです。

     rir」。「通り→通い」、「(もり)(もい)」、「(あり)(あい)」、「(とまり)(とぅまい)」、「(うり)(うい)」、「(まり)(まい)」、「(とり)(とぅい)

     waw」。「(なわ)(なあ)」、「(かわ)(かあ)」、「(あわ)(ああ)」、「(かわら)(かあら)」、「(たわら)(たあら)」、「(まわ)り→(まあ)い」

     kichi」。「()()」、「(きも)(ちむ)」、「黄色(きいろ)黄色(ちいるう)」、「(きり)(ちり)」、「(つる)(ちる)」、「(きし)(ちし)」、「(きん)(ちん)(きく)(ちく)

     kechi」。「(けん)(ちょう)(ちん、きん)庁」、「見聞(けんぶん)見聞(ちんぶん)」、「倹約(けんやく)倹約(ちんやく)」、「二間(にけん)二間(にちん)」、「検査(けんさ)検査(ちんさ)

     giji」。「銀行(ぎんこう)銀行(じんこう)」、「吟味(ぎんみ)吟味(じんみ)」、「義理(ぎり)義理(じり)」、「儀式(ぎしき)儀式(じしち)

     chuchi,zuzi」。「何時(いつ)何時(いち)」、「見物(けんぶつ)見物(ちんぶち)」、「(まつ)(まあち、まち)」、「(なつ)(なち)」、「(はず)(はじ)、「(つめ)(ちみ)」、(つら)(ちら)」。(開口の原則からすれば、uは変化しないのであるが、例外的に「つ」は「ち」に変化する。)

     ae→ee」。「(なえ)(ええ)」、「八重(やえ)八重(ゑえ)」、「(かえ)る→(けえ)ゆん(帰いん)」

     ueoe→(wii」例。「(こえ)(くぃい)」、「(うえ)(ゐい)」、「()こえ→()くゐ(評判)」

 

以上の応用問題として、次の漢語を合音で読んでみてください。

@高層建築物  A新発売  B入院患者  C勝利宣言  D心肺停止  E一勝三敗

F拡大的生産  G米国発  H金融危機  I減産対象  J国際団体  K憲法裁判所

(答は下行)

 

応用問題の答

@こうそうきんちくぶち(又くうすうきんちくぶち) Aしんはちべえ Bにゅういんかんじゃ Cしょういしんぎん Dしんぺえてえし Eいっしょうさんぺえ Fかくでえてぃちしいさん Gべえくくはち Hちんゆうちち Iぎんさんてえしょう Jくくせえだんてえ Kきんぽうせえばんじゅ(又ちんぷうせえばんじゅ)

 

資料:組踊(『護佐丸敵討』、『執心鐘入』、『忠士身替の巻』、『銘苅子』、『孝行之巻』、『大川敵討』、『大城崩』、『女物狂』、『手水の縁』、『花売の縁』、『万歳敵討』いずれも伊波普猷編)、『沖縄對話』(沖縄県)、『沖縄語辞典』(国立国語研究所)、野村流工工四(野村流音楽協会)、『琉球の昔話』より「泊阿嘉」「中城情話」、海邦出版社、他。