2010年01月30日


日本語

@そうなんですか。
Aそうなんです。(そうなんですよ。)
Bそうなんだ。(そうなんだよ。)

うちなあぐち

@あんどぅやいびいる
Aあんどぅやいびいる。(あんどぅやいびいさ。)
Bあんどぅやる。(あんどぅやんどお。)

【解説】
 文中に強調を表わす助詞「どぅ」またその清音である「る」がある場合の疑問文は疑問を表わす助詞「い」を用います。
 強調文とは、文中に強調を表わす助詞「どぅ(る)」がある文の事を言います。係り結び文とも言います。文中に強調助詞がある場合は述語等を表わす動詞、助動詞、存在動詞及び形容詞等の用言は通常は連体形で結びます。否定文の場合は第99講参照。
例:「あんまあがる見じゅる」(母こそが見るのである)。
 「どぅ」は、前語が「が」や「でぃ」等のように濁音である場合や「ぬ」となる場合、多くは「る」になります。地方によっては、もっぱら「る」となる事もあります。(もっとも、沖縄の首里那覇含む、中南部では、r音とd音の区別は厳密にはしません。「琉球」も「るうちゅう」と「どぅうちゅう」の二通りあります。)

例「―がる」、「―でぃる」、「―ぬる」等。

例文@ 文末の「い」は文中の強調を表わす助詞「どぅ」を受けて用いられる疑問助詞です。
山内獏の詩にある有名なフレーズ、「うちなあぐちまでぃん、むる戦にさったるばすい(沖縄語までも、全部、戦争にやられたわけか)」も疑問助詞「い」を使っていますが、「い」は強調疑問だけなく、名詞や副詞等にも付きます(第6講参考)。
例:「とうい」(いいですか)。「か(ん)にい」(こうか)。「ちゃあ、頑丈い」(ずっと、お元気ですか)。
例文A 丁寧文かつ強調文の例です。もっと約まった「あんで(い)えびる」もあります。他に約まる例には「良い正月でえびる(元旦の挨拶)」、「にふぇえでえびる(ありがとうございます)」等があります。
例文B 非丁寧文かつ強調文の例です。

 
【応用問題】
強調助詞を使って、次の日本語文を沖縄語で表しなさい。
@今日も暑いですか。
Aはい、今日も暑いのです。
Bあそこに行くつもりですか。
Cええ、行くつもりですよ。

答え:
@今日(ちゅう)ん 暑(あち)さどぅあいびいるい。
Aうう、今日ん 暑さどぅあいびいる。
Bあまんかい 行ちゅる積合(ちむええ)どぅやいびいるい。
Cいい、行ちゅる積合やいびいん。

【関連話題】かくれんぼで「とうい」や「なあい」は「もういいかい」。「もういいよ」は「とうるう」。子供向けの「うちなあぐち遊び」や「勉強会」等で教えたい語句です。
2010年01月29日

日本語

@雨が降っていますか。(雨が降っているか)
Aはい、雨が降っています。
B薪は、燃えているか。
Cいいえ、燃えていません。

うちなあぐち

@雨(あみ)ぬ降(ふ)とおいびい。(雨ぬ降とおみ)
Aうう、雨ぬ降とおいびいん。
B薪(たむん)のお、燃(め)えとお
Cうううう、燃(め)えてえ居(をぅ)いびらん。

【解説】
特定の状況、特定のものを尋ねる(問う)場合には疑問詞「み」を使います。日本語では不定疑問も特定疑問も疑問詞「か」で統一されていますが、沖縄語では使い分けられます。
 但し、『沖縄語辞典』には、この特定疑問を表わす助詞「み」は、用言の語尾「n」から変化した「m」と「本来の疑問助詞」ある「i」が結合したものであるとしています。ですから、同書には助詞としても「み」は掲載されていません。(前講で取り上げた疑問助詞「に」についても同様な扱いとなっています。)
 ローマ字(音素)表記となっている前掲書としては、ローマ字で表現できる方法で説明するのは当然ですが、ひらがらを使用文字とする本書においては、「み」や「に」を語として扱わなければなりません。ひらがな表記の言語をローマ字で説明する場合は、音韻説明と文法の説明とは別けられるべきであり、混同されるべきではありません。両者を混同した場合、「み」は「むい」、「に」は「んい」等と表記するはめになってしまいます。文法説明は表記文字や表記法によって異なるのです。

例文@ ( )は非丁寧文です。
例文A及びC 日本は欧米に比べると、上下関係がうるさいです。沖縄はもっと厳密すぎます。日本語の「はい」が上下関係によって、使い分けられるのです。これでは、目上の者と話する場合は緊張してしまいますが、これも言語習慣です。沖縄語を知らずに育った現代のリベラル志向の若い方々も匙を投げずに、一応、目を通してください。目上の者には「うう」、目下の者には、「いい」、目下の年長者には、「おお」、親しい者や目下には、「んん」等と使い分けます。
 否定や拒絶の場合は、それぞれ、「うううう」、「いいいい」、「おおおお」、「んんんん」等となります。何れも、前の二文字目(2音節目)は伸ばし音で、三文字目は急激に揚げ音且つアクセントにし、最後に下げ音にします。

  
【応用問題】
次の日本語を沖縄語で表しなさい。
@その肉は安いですか。
Aはい、安いです。一キロ50円です。
Bもう、夜は寒くなっていますか。
Cはい、もう、寒くなりましたよ。

答え:
@うぬ肉(しし)え、安(や)っさいびいみ。
Aうう、安っさいびいん。一キロ50円(いん)やいびいん。
Bなあ、夜(ゆる)お、寒(ふぃい)くなとおいびいみ。
Cうう、寒(ふぃい)くなとおいびいんどお。

【関連話題-返事】呼びかけに対する応答は、本文例の他に現実には主には女性が使う「ふう」はじめ「ひい」、「ふん」、等のバージョンもあります。士族社会の名残りのある首里等で厳しい返事のし方も、特にリベラルの波が押し寄せたわけでもない地方においては上下に関係なく「んん」(肯定)、「んんんん」(否定)で通る場合が多いです。

2010年01月29日

日本語

@これは何です。(これは何か。)
Aこれは食べ物です。
Bこれは飲み物だ。
Cこれは、汁だよ。

うちなあぐち

@くりえ、何(ぬう)やいびい。(くりえ何やが。)
Aくりえ、食(か)み物(むん)やいびいん。丁寧
Bくりえ、飲(ぬ)み物やん。非丁寧
Cくりえ、汁(しる)やさ。

【解説】
 沖縄語では文中に疑問詞「いつ」、「どこで」、「だれが」、「何を」、「どのように」を表わす語句がある場合の疑問文(不定疑問文)には助詞「が」を用います。日本語の「か」に対応します。(もっとも、日本語の場合は、特定疑問を表わす場合も同じく「か」をもちいます。)
例文@ 近称代名詞「くりえ」は、語形保存表記(「はじめに」及び附録「ヤ系係助詞一覧」参照)です。「くり」の形をそのままにした上で、格助詞「え」をつけます。語形を保存しない表記の場合は「くれえ」となります。また、中称、遠称代名詞、「それ」、「あれ」は、それぞれ「うり」、「あり」となります。( )内は非丁寧文です。
例文A 丁寧文の例です。「やいびいん」は存在動詞「やん」の連用形「や」と「やびいん」。存在動詞は日本語の形容動詞にほぼ対応します。
例文B 非丁寧文としての文例です。
例文C 文末の「さ」は感嘆詞です。日本語の感嘆詞「よ」に対応する場合が多いです。

【追記】民謡「ベーベーぬ草刈いが」にある「いったー アンマー まーかいが」(あんたの母さんどこにか)」における「が」も不定疑問詞です。「まーかいが」は「まーんかいやが」の「や」(存在動詞)が略されています。「組踊」には、「たあ誰が」という台詞が出てきますが、日本語の「誰が」という意味ではなく、「(そなたは)だれか」という意味です。「誰やが」の「や」(存在動詞)が略されています。

【応用問題】
次の日本語文を沖縄語で表しなさい。
@どれがいいですか。(どれがいいか)
Aこれがいいです。(これがいい)
B君は、どこへ行きますか。
C学校へ行きます。
Dあれは、どのように、作ったのですか。
Eレシピの通り作りました。

答え:
@何(じ)るお、ましやいびい。(何るお ましやが)
Aくりえ、ましやいびいん。(くりえまし)
B汝(やあ)や、まあんかい、行ちゃびい
C学校(ぐぁっこう)んかい、行ちゃびいん。
Dありえ、如何(ちゃあ)し、支(し)こうやびた
Eレシピぬ通(とぅう)い 支こうやびたん。

  
【関連話題】 沖縄語の「何(ぬう)が」は、「何やが」における「や」が略されたものではありません。「何が」は日本語の「なぜ」という意味で、「何やが」は、「何か」という意味です。




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