比嘉 清:作 | トップページへ戻る |
平成25年6月14日 | |
昔きかし、御神加那志達が、人とぅさあに、地上んかい降りてぃめんそおちゃる時分ぬ話どぅやいびいる。 ある日、地上んかい降りてぃ直ぬ男ぬ神とぅ女ぬ神とぅが根引ち祝儀すぬ事んかいなやびたん。 御神加那志達にとぅてぃ、地上於てぃぬ根引ち祝儀え、初みてぃぬ事やいびいたん。天ぬあまくまから御神加那志達や、なあ銘々、新婿・新嫁んかいぬ贈い物、持っちめんそうちゃん。いいくる、男神え男物、女神え女物、ふぃさぎてぃめんそうちょおいびいたん。 うぬうちなかい、祝儀ぬ始まやびたん。うにいや三味線や、なあだ無えやびらんたくとぅ、祝儀座んでぃ言ちん、臼太鼓叩ちゅる音んかい合あち、歌たい舞うたいするうっぴどぅやいびいたる。 さてぃ、月んかいめんせえたる男神え、自や地上から一っちん、近さくとぅんでぃち、悠々とぅそおみせえたん。やいびいしが、地上眺みたれえ、根引ち祝儀え、きっさ、けえ始まとおいびいたん。揃りめんそおちょおる御神加那志達や酒飲でぃ、踊い跳にそおいぎさいびいたん。 月ぬ神え、「とおなあ、くりえ違がたるむん」でぃ、慌てぃやに、すがゆしん、ようい一時、矢やかん早く、飛てぃ行ちゃびたしが、誰やかん、にっかけえなとおいびいたん。月ぬ神え、傍ひらぬ御神加那志達んかい、だんじゃあむんじゃあしいがちいなあ、まじゅん、舞うやびたん。 さてぃ、根引ちぬ仲立ち神が、新婿・新嫁ぬ手引ちゃあに、踊いぬ中心ぬんかい、連うてぃ、めんそおちゃん。 あんし、うぬ仲立ち神え、何がやら、叫び叫びやあみそうちから、小箱、御差上ぎみそおちゃん。うぬ拍子なかい、御神加那志達や、ちがあるうさあに、新婿・新嫁んかい、なあ銘々ぬ贈い物、御差上ぎみそおちゃん。 「とおなあ、違とおるむん」。一っちん、人後からめんそうちゃる月ぬ男神え、自が贈い物ぬ一ちんちょうん、持っちぇえ居らな、空な胴やる事ぬ分かやびたん。 やいびいしが、今でぃいから、悔やでぃん、如何ん成ゆるむぬおあいびらん。するうち、贈い物、御差上ぎゆしん、彼が番とぅないびたん。 自ぬ住処やる月、うちゃがてぃ見いどぅんしえ、丁度、十五夜ぬ月ぬ、ぬしかとおいびいたん。月え、白光いし、地上ゆ明かがらちょおいびいたん。月ぬ神え、何がやら、いちゃんだん、涙落とぅさびたん。 「あっさ、地上から見じゅる月え、あん美らさあたみ。やさ、自が自慢なゆしえ、自ぬ月くうとお無えらん」 月ぬ男神え、ちゅうちゃん、いそうさなやに、「やさ」んでぃち、叫びみそおちゃん。 あんし、今度お、笑え誇いみそうち、手叩ちから、新郎・新婦ぬ前んかい、寄やびらん。 「我ねえ、実にやれえ、新郎んかいや男物、御差上ぎやびらんでえ、ないびらんむんやいやさびいしが、新郎や今日や、新嫁得いみそおちょおいびいん。新郎に取てぃ、うりやかぬ宝物や無えやびらん。やいびいくとぅ、我ねえ、今日や、新嫁びけんかい、あぬ天ぬんかい、あん清らさ照い渡とおる月ゆ御差上ぎやびいん」 月ぬ神ぬ指え、天ぬんかい浮かどおる月ゆ指ちょおいびいたん。新郎とぅ新婦や、一時小や、とぅぬうまぬうそおる風儀やいびいたん。 やいびいしが、新婿・新嫁が、うちゃがてぃ、天ぬ月ゆ眺みたれえ、直き、御二所お、笑え顔んかいなやびたん。 「あいなあ、あん清らさ、明がとおいびいる。まあにん無えらん土産物やいびいんたい。どうでぃん、我物とぅしち、うたびみせえびり」 若さる新婿・新嫁や地上於とおてぃ、人ぬ始まいとぅ成みそおちゃん。 うぬ日ぬ後からどぅ、大人ぬ女んかいや月ぬ物ぬ、あんねえし成たんでぃぬ事やいびいん。 |